#21 熱いレンガの上のねこみたいに/Like a cat on hot bricks

【ぼく】4月15日
 
 あれから1ヶ月。まだ1ヶ月だし、もう1ヶ月。生活はそれなりに変化した。あまり良くない方に。でも、こかりは、こういう時でも変わらず「まあ、なんとかなるよね~」って言ってくれるので救われている。たいこは状況があまりわかっていないし、ホワンもいつもどおりかな。でも、背中の毛ってあんなに薄かったっけ? やっぱりストレス? ちょっと心配。
 
 最近は計画停電で、電気が供給されない日がある。最初は「電気のありがたみがわかるね~」なんて強がりも言っていたけれど、現実問題として、停電中はコンピュータもタブレットも使えないので、仕事ができないのはキツイ。でも電気がないと絵が描けないなんて、プロとしてなんだか情けない気もするので、いい機会だからもっとアナログ画材も勉強してみようかな。
 
 計画停電の日は、たいこが暗闇を怖がるので、気を紛らわせるために子ども用の小さなテントを居間に張り、キャンプ用の大型ランタンを(とも)してあげた。すると、思った以上に気に入ってくれて、たいこはテントの中に入り浸るようになった。お気に入りのぬいぐるみや、いやがるホワンをテントに連れ込んでは架空のお茶会を開いて遊んでいる。たいこが好きなあの絵本の影響かな?
 
 震災で仕事がいくつかキャンセルになった。特に、久しぶりの大仕事で張り切っていた鉄道会社の広告が飛んだのは(つら)い。今のご時世、ちょっとでも楽しげな広告は不謹慎と言われるから自粛したとのことだ。自粛はまあ仕方ないとはいえ、もう納品も終わっていた仕事のギャランティーが半分に減額されたのは納得いかない。改めてフリーランスの立場の弱さを実感する。
 
 それにしても、屋陸(やりく)さんや、オサダさんたち、フリーカメラマンの友人は皆、すごい。震災後、直ちに被災地入りして、レンズを通して被災地の惨状を伝えたり、車中泊をしながらボランティアとして被災者を助けていた。本当に尊敬するよ。同時に、絵なんて描けたところでこんな時にはなんの役にもたたないよねって、いじけてしまう自分もいる。
 
 そんな中、仙台の友人が被災したことを知った。震災後、アメリカ時代の友人が皆、日本の状況について心配してくれていたので、仙台の友人のことを話すと、みんな力になるよ! と言ってくれた。そして有言実行。その日の内にFacebookとPayPalを使ってカンパを募ってくれ、あっという間にまとまった額の寄付金を友人家族に送金することができた。インターネットすごい! おまけに、タイラーが音頭をとってたくさんの日用品や文房具などをダンボール数箱分送ってくれたので、被災地の避難所に寄付することができた。持つべきものは友人だ。なんだかこういうことって結局自己満足のためにやっている気もして悶々(もんもん)とするけれど、深く考えすぎるとまた自己嫌悪がはじまるので、とにかく手だけを動かし続けよう。
 
 でも、こんな時でも当たり前のように春はきて、満開の桜は普通に美しいよね。多分、イラストレーターの役割もこういうことなんだろうね、自分がまだその域に達していないだけで。いつかは……。
 


【ミー】April 24th
 
 ナイトはダーク。ダークはねこの時間、ミーの時間。ジシンがアタックしてきてから、タイラーたちはナイトタイムにライトを使わなくなった。ライトをつけるとジシンに見つかってアタックされるからだろう。でも、ジシンがねこだったら話はディッファレントだ。なぜなら、ミーたちねこはダークネスなんてへっちゃらだから。
 
 でも、ニンゲンはダムだから、ダークネスでは何も見えていない。タイラーがナイトタイムにトイレに行こうとしてウォールにクラッシュした時もミーは見ていた。このことをはずかしがってコカリにシークレットにしているけれど、ミーは知っているんだぞ。クラッシュした時のタイラーのファニーフェイスも覚えている。
 
 タイコーもダークネスをこわがっていた。すると、タイラーが、ストレンジなトライアングルルームを作ってあげていた。ホワイ? そのトライアングルは、ミーがすきなコタツのように中に入れるけれど、コタツのようにウォームじゃない。タイコーはトライアングルの中でずっとプレイしているのでこっそりウォッチしていたら「ホワンちゃん、今日のごはんはお魚でしゅよ」なんて言うからしっぽがピンと立ったけれど、おもちゃのフィッシュが出てきたので、そのまましっぽは下がった。
 
 しかし、このトライアングル、どこかで見たことある。そうだ、これは、ピラミッドだ。ミーのボスがスリープしているところ。ん? ボスってだれだ?
 
 でも、細くて流れるビーチの近くに住んでいて、おいしいフィッシュをいつも食べていた? サマック・マシュウィー……そうだ、ミーは、フィッシュタコスと同じくらいあれがラブだった! あと、あと、フェシーフ? タイラーが好きなクサヤみたいにスメリーなフィッシュ! だんだんリメンバーしてきた。ミーは、毎日ラットをキャプチャーして遊んでいた。それを見て、みんなミーのことをゴッドライクにウォーシップしていた。タイラーたちのミーに対するラフなハンドリングとはおおちがい! ピラミッドデイズはグッドだった……そうだ、もうひとつ思い出した。ボスの名前だ。ボスの名前は、タイーラ、キング・タイーラだ。
 

ねこようせいによる「ねことわざ」解説

Like a cat on hot bricks

(熱いレンガの上のねこみたいに)

「Like a cat on hot bricks」は、そわそわ、びくびくしている様子を表す言葉なんだって。たしかに、夏のレンガは熱いもんね。長靴をはいたねこ以外のねこはみんな、靴なんてはかないからやけどしちゃう。そりゃ、レンガの上では慎重にもなるよね。ちなみに、たいらくんは、ポール・ガルドンさんの絵本『ながぐつをはいたねこ』が大好きなんだって。そういえば、あの絵本のねこ、ホワンちゃんに顔が少し似てるよね。

毎月第1・3火曜日更新

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北澤平祐プロフィール

北澤平祐(きたざわ・へいすけ)
イラストレーター。東京都在住。アメリカに16年間在住後、帰国しイラストレーターとしての活動を開始。
多数の書籍装画や、花王、東京ソラマチ、渋谷ヒカリエなどのキャンペーンビジュアル、ファミリーレストランCOCO'Sのメニューイラストや、洋菓子のフランセ、キャラメルゴーストハウス、KENZO Parfumsの商品パッケージ等、国内外の幅広い分野でイラストを提供。
オフィシャルサイトwww.hypehopewonderland.com