3.春の湘南と大人ドミトリー ~旅にメリハリと、しない贅沢~

「季節外れ」を楽しむ

 

湘南(しようなん)といえば夏、と思っていらっしゃる方は多いと思います。もちろん夏の湘南はきらきらと美しいですよね。ですが「季節外れ」を楽しむのも、ババアの楽しみ方だと思います。季節外れのほうが、人が少なくて静かだし、なにより、海にガツガツ入って遊ぶ元気がなくなってくるのがババアですから。

 

友人が住んでいるのもあって、私は2、3か月に一度、湘南に遊びに行っています。まだまだ寒い日もあるけれど、冬から春の湘南もいいものです。

 

やることといったら、まず、昼間っからワインを飲む。前にも書きましたが、若いころは冬でも夏でも「とりあえずビール派」だった私が、いまや、「まったり白ワイン派」になりました。ビオやオーガニックなど、ナチュレな白ワインをいただくと、気のせいか、穏やかに酔う気がするのです。これは私の体質の問題かもしれませんが。

 

海を見ながら白ワイン。私にとって湘南は、ワインを飲みにいくところ(笑)。イタリアのアマルフィのような海辺で、何もしないで友と海や夕日を眺める! 欧米でも「何もしない」のがバカンスの究極スタイル。贅沢の極みです。

 

海を一望する高台に(たたず)むレストラン「surfers(サーファーズ)」には、他にも色々な楽しみ方があります。手前の逗子(ずし)海岸ロードオアシスでタクシーを降りてから2、3分歩いて、定食屋さんで新鮮な地魚定食をいただいたり、小さな八百屋さんで野菜を買ったり。

 

Surfersのすぐ下の海岸。暖かい日には、海に足だけ付けて、プチ・タラソテラピー

ときにはsurfersクラブ(Club surfers)の会員特典でジャグジーに入ったりするのですが、面倒な日もある。そんなときは、磯浜まで下りていって足だけ波に打たれてプチ・タラソテラピー。それだけで、十分癒やされるし、楽しめるのは、ババアになったよさだと思います。

Surfersからの夕焼けに癒されます。オーストラリアのサーファーが作っているというビオの白ワインをいただいたり、Surfersそば、ロードオアシスの定食屋さんで、地魚4点盛り1100円!

 
 

還暦まぢかで、カプセルホテルデビュー!

 
 

ババアになって目覚めたことの一つが、ドミトリーやカプセルホテルに泊まること。まさか還暦まぢかで、ドミトリー&カプセルホテルデビューをすることになるとは! でも、最近のドミトリー&カプセルホテルって凄いんです。

 

きっかけは、ここ数年のホテル宿泊費の高騰です。インバウンドの方々がたくさん押し寄せてくださっているおかげで観光業は潤ってきましたが、その反動か、日本中のホテル宿泊費が沸騰! トークショー出張や、伊豆遠征の時に、以前なら8000円くらいで泊まれたビジネスホテルが、いつの間にか軒並み2万円近くに……。旅の多い私にとっては大打撃。そこで、京都出張の時に恐る恐る「9h nine hours(ナインアワーズ)」に泊まってみたのが、カプセルホテルデビューでした。

 

カプセルホテルとは、一人用のカプセル状(箱型)のベッドが並ぶホテルです。そして、ユースホステルやゲストハウスなど、相部屋タイプの宿泊施設を一般にドミトリーやホステルと呼びます。いずれも普通のホテルより安価で泊まれるため、若者や長期旅行客が使うイメージがありましたし、実際、そうした人の利用が多いようですが、ババアが使っていけないはずはありません。最初は怖々(こわごわ)だったけど、泊まってみたら実に快適! オヤジくさいビジネスホテルより安眠できます。

 
 

ドミトリーで立てる「沈黙の誓い」とは?

 
 

去年、湘南ではホステルの「WeBase鎌倉」に、数回泊まりました。由比(ゆい)(はま)駅まで徒歩3分、海までも歩いて2分という素晴らしい場所にあって、朝日を浴びながら、宿でヨガもできるんです。シャワールームだけでなく、大浴場があるのも嬉しいところ。女性専用の部屋もあるし、グループで泊まる場合は、仲間だけの部屋を予約するなど、用途によって使い分けるのもいいですよね。

 

ホステル「WeBase鎌倉」から歩いて2分で海!

私は一人で宿泊しました。ホステルやドミトリーに泊まるとき、夜になると私は「沈黙の誓い」を立てねばなりません。一人部屋でないから、(しやべ)っちゃダメ! と自分に言い聞かせる誓いです。これをすると、日頃おしゃべりな私が静かになる。口だけじゃなく、不思議と心も静まるからよく眠れるんです。ま、そもそも一人だから、誰と喋るんだ、って話なんですが(笑)よく考えたら、ホテルであっても、一人部屋で一人で喋ったりはしませんものね……。でも、この「ときには沈黙の誓い」、オススメです。

 

海と空に囲まれた「WeBase鎌倉」。すぐ隣にある「鎌倉 松原庵」のお食事もオススメです。

湘南では、カジュアルなゲストハウス「海宿食堂 グッドモーニング材木座」もお気に入り。ここは名前のとおり食堂があって、地元の食材を使った美味しい朝ごはんをたっぷりいただきました。ここでは少し奮発して、海側の和室個人部屋に泊まります。

 

いま、カプセルホテルも進化しています。カプセルホテルデビューとなった京都の「ナインアワーズ」に泊まったときは驚きました。カプセルホテルは最近、外国人観光客に大人気だと聞きますが、その理由がよくわかります。『2001年宇宙の旅』に出てくるような、宇宙船のようなカプセルが並んでいる。そんな近未来的な空間に圧倒されます。ロッカーからベッド、シャワールームへの道線もよく考えられていて、安全・便利。ベッド寝具も清潔です。

 

もちろん、老舗(しにせ)ホテルや高級ホテルもいいけれど、たまにはカプセルホテルやドミトリーを使う。そうして少し浮いたお金で、食事をちょっと贅沢する。お土産を自分にも買ってみる。ババアになって、そうやってメリハリをつけることが心地よくなりました。いま、ドミトリーやカプセルホテルは各地に増えています。新しくできたいいもの、楽しいものに、ババアだって乗っていきたいものです。

 

「海宿食堂 グッドモーニング材木座」。波の音を聞きながら眠り、朝ご飯をたっぷりいただきました。

9h ninehours:https://ninehours.co.jp/kyoto/
WeBase鎌倉:http://we-base.jp/kamakura/
海宿食堂 グッドモーニング材木座:http://zaimokuza-goodmorning.com/

毎月第1・3水曜日更新

更新情報はTwitterでお知らせしています。

地曳いく子(じびき・いくこ)プロフィール

地曳いく子(じびき・いくこ)
1959年生まれ。『non・no』をはじめ、『MORE』『SPUR』『Marisol』『eclat』『Oggi』『FRaU』『クロワッサン』などのファッション誌で30年以上のキャリアを誇るスタイリスト。著書に『50歳、おしゃれ元年』『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』『ババア上等! 余計なルールの捨て方 大人のおしゃれDo&Don't』『ババアはつらいよ アラカン・サバイバルBOOK』『おしゃれも人生も映画から』『おしゃれ自由宣言!』など著書多数。槇村さとるさんとの動画連載「BBA(ババア)チャンネル byさとる×いく子」も好評配信中。http://gakugei.shueisha.co.jp/yomimono/bbach/01.html