10.ロンドン最新「食」事情(ロンドン旅・前編)~BBAは昼はがっつり、夜はライトに~

テクノロジーの進化に感謝! 自動化ゲートでラクラク入国

 

7月に、4泊6日のロンドン一人旅に行ってきました。本の執筆などで立て込んでいたこともあり、正直、行くかどうか、迷いました。疲れるし、お金もかかる……。けれど、思い切って旅立ったら、結果、楽しかった!

 

体力も、気力も、(これは人によると思いますが)(ふところ)も弱ってくるBBAですが、歳をとったからこそ、たまには、窓を開けるように自分のなかの空気を入れかえたいもの。実際、面倒くさいこともありますが、それを上まわる何かを旅はもたらしてくれます。というわけで、2回にわたって、ロンドンBBA旅をお届けします。

窓をあけて空気を入れかえるように、たまには旅をして、自分のなかの空気をいれかえたいもの。

まず、ロンドンの空港についてびっくりしたのが、ヒースロー空港入国審査の新しいシステム!

 

ロンドンにつくたびに暗い気持ちにさせられていた、あの「魔の入国審査待ちの列」。BBAになった私には、本当に辛かった。10時間を超えるフライトでふらふらのBBAには過酷(かこく)な試練でした。

 

今回、いつも1時間半以上、ヘタをすると2時間は待たされていた入国審査窓口がなんと! 自動ゲート化されていたのです。日本人用の自動化ゲート対応パスポートを持っていた私は、ものの15分くらいで通過。渡航前に、私が行くのと同じフェスに前の週に行っていたストーンズ仲間のA夫妻から話は聞いていたのですが、まさかこんなにラクになっているとは! テクノロジーの進化に感謝、長く生きているといいこともありますよね。

 

今回の旅のいちばんの目的は、毎年、夏にロンドン市内のど真ん中、都会のオアシスであるハイド・パークで開かれるミュージックフェスティバルです。前回書いたように、寄る年波に負けて、ステージ前最前列は諦めて、今年はソファーに座ってゆったり見られるGARDEN VIP席を取りましたが、やはり大好きなニール・ヤングのときは最前列へ走ります。体力のないBBA、メリハリが大切です。

都会のオアシス、ハイド・パークで開かれるフェスへ。BBAらしくソファー席でゆったりと、でも、ニール・ヤングはやっぱり最前列で。メリハリが大切です。

 

テムズ川を見下ろす絶景朝ごはんと、パブの日曜限定ロースト

 
 

「食」についても、やはりメリハリです。そしてロンドンの食は本当に進化している。というか、「モダンで健康的な美味しいもの」と、以前からあるいわゆる「まずいイギリスの食事」の、真っ二つに分かれた印象を受けました。

 

まず、オススメしたいのは、「ザ・シャード(The Shard)」での朝ごはんです。ザ・シャードは、2013年にオープンした、現在、EUでもっとも高い87階建てのビル。そこの31階に入っている「アクア・シャード(Aqua Shard)」で、ちょっと遅めの朝ごはんを食べてきました。スコットランドから駆けつけてくれた友人夫婦が予約してくれました。1階入り口のちょっと厳しすぎるセキュリティーチェックを通過して上がります。そのためにも事前予約は必須です。

 

テムズ川を真下に臨みながらいただく朝食はかなりスペシャル。パンにベーコン、ビーンズなどがついた、一見オーセンティックなイギリス式朝ごはんですが、とにかくすべてが美味しい! ベーコンやハムも一味違います。そして、ココットに入った熱々のチーズとマッシュルームがのったオムレツもびっくりするくらい美味。他にも何種類か選べて、ジュースとティーかコーヒーもついて、朝ごはんセットの値段は20ポンド(約2600円)です。安くはありませんが、この料理にテムズ川を一望できる素晴らしい眺望もついていますから、絶対にお得です。毎年変わりゆくロンドン、古い街並みとモダンな新しいビル、鳥になったつもりで上空から楽しみました。

ベーコンもビーンズもオムレツも、すべてが美味しいザ・シャードのレストラン、アクア(Aqua)の朝食。
眼下にテムズ川を臨みながら食後のアールグレイティーをいただきます。変わりゆくロンドンを上空から楽しみました。

それから、日曜日にロンドンに滞在する人にオススメしたいのが、「サンデーロースト」です。これ、パブやレストランで、日曜日だけ食べられるメニューなんです。チキンやビーフのローストをメインに、野菜もついたワンプレートで、女性の一人旅にぴったりですね。値段は店によって違いますが、私が食べたパブでは、日本円で2000円程度でした。

 

サンデーローストには、「ピムス」というロンドンっ子が夏に飲むリキュールをいただきました。ピムスの飲み方は店によってそれぞれですが、レモンやオレンジ、キュウリやミントなどを入れ、レモネードやジンジャー・エールで割って飲むのが一般的のよう。ロンドンの夏にぴったりな爽やかなお酒です。

肉&野菜のバランスがよい日曜限定の「サンデーロースト」と、ロンドンっ子に大人気の「ピムス」。パブで大満足の食事。

実はこの日はテニスのウィンブルドン、男子決勝の日でした。ジョコビッチ選手とフェデラー選手のあの5時間近くにわたる熱戦を、ローストをほおばり、ピムス片手にロンドンのパブで見る。幸せなひとときでした。ただ、試合が長くてちょっと疲れたので途中でリタイア、スーパーで流行りの缶入りジントニックを買ってホテルに戻り、続きを観戦しました(笑)。

 

なぜか今ロンドンでは、ジンを飲むのが流行っているんですよね。ジンカクテルだけで本当に色々な種類がありました。ピムスやギネスも基本ですが、ぜひ試してみてください。

ロンドンでは昼でも夜でもパブで気軽に一杯。私はここでテニスのウィンブルドン・男子決勝を見ていました。

 

美術館でモダンブリティッシュを堪能(たんのう)

 
 

私にとって、旅に欠かせないのが美術館めぐりです。えっ? また美術館? って感じですが(笑)。

 

今回は、「ナショナル・ポートレート・ギャラリー(National Portrait Gallery)」で開かれている企画展「シンディ・シャーマン回顧展」(9/15まで)に行ってきました。これはロンドン在住の友人が(すす)めてくれた展覧会なのですが、その友人は、私と入れ違いで日本に帰国中。こういうことも旅にはありますね。でも、滞在中もLINEでやりとりして、ロンドン情報をアップデートしてくれました。持つべきものは、食、趣味ともにセンスのよい友人ですね。

 

シンディ・シャーマンはセルフ・ポートレート作品で有名なアメリカの写真家・映画監督です。トランスポートレートという新しいジャンルを確立しました。彼女が様々な被写体になりきって撮影された作品は見ごたえがあり、とても1時間では見終わらないくらい。入場料は20ポンドと高めでしたが、行ってよかった。

「ナショナル・ポートレート・ギャラリー」の「シンディ・シャーマン回顧展」。シンディ・シャーマンが様々な被写体になりきって撮影された作品が並びます。

1時間以上歩くと疲れて、お(なか)()いてきたので、ランチをしようと美術館の最上階にあるレストランへ。スノビッシュな雰囲気なので、一人ですし、予約もしていないし、ちょっとたじろぎましたが、ランチだから大丈夫だろうと入ると、これが大正解でした。

 

まずモダンなインテリアと眺めが素晴らしい。私のテーブルを担当してくれたショートカットの女性も粋でかっこいい! まずは白ワインをグラスで頼み、時差ボケの頭を働かせてメニューを選びました(何しろこの日、朝6時にロンドンに到着したばかりですから……)。お肉はタプナードを添えたマトンを選びました。もちろん、焼き加減、味、量も完璧! サイドで追加したnew potato──新ジャガですね──は、ミントと塩とオリーブオイルでシンプルに味付けされた上品な味わいで、ワインが進む進む(笑)。2、3杯は飲んだので、合計して日本円で7000円くらいにはなりましたが、夜に比べたら、断然お得だったと思います。

美術館のカフェでモダンブリティッシュランチを。ポテトも美味しくてワインが進みすぎました(笑)。

BBA旅は、昼はがっつり、夜はライトに、がいいと思います。若い頃ほど食べられない胃にもやさしいし、お財布にもやさしい。特に一人旅は、夜はパブで軽く食べるとか、スーパーなどで買ってきたものをホテルで食べるくらいが気軽でちょうどいいですよね。

 

スーパーは、街のいたるところにあるM&S(マークス&スペンサー)へ、見つからないときはグーグルで検索して行きます。5ポンド(600~700円)くらいのサラダと、飲み物は、エルダーフラワーシロップ入りのアップルタイザー缶がオススメです。ロンドンのホテルはどんなに小さいところでも、湯沸かしとカップのティーセットがついているホテルが多いので、ハーブティーのティーバックを買ってホテルで飲んでもいいですね。さすがお茶文化の国イギリス! ちなみに私はミントティー派です。

 
 

貴族の館で#KuTooを考える

 
 

もう一つ、オススメしたい美術館が「ウォレス・コレクション(The Wallace Collection)」です。元貴族の(やかた)だったこともあり、入るだけで優雅な気持ちになれます。街歩きや人混みに疲れたときに、ほっと一息できるロンドン女子の憩いの場所です。

元貴族の館だった「ウォレス・コレクション」。優雅で癒される美術館の中庭にはカフェもあります。

私が訪れたとき、マノロ ブラニク(Manolo Blahnik)とウォレス・コレクションの企画展「An Enquiring Mind(探求心)」が開催されていました(9/1まで)。偶然、知らずに訪れた私は、ものすごくテンションが上がります! コレクションの絵や家具からインスパイアされたマノロ ブラニクの靴や原画スケッチの数々にため息が出ました。

偶然にもやっていたマノロ ブラクニの企画展! 靴や原画展にため息が出ました。

ここの中庭にもカフェがあるのですが、ここではしっかりコース料理より、お茶やサンドイッチなどの軽食を選ぶのが賢明だと思います。コース料理は古い館の味で、私にはツーマッチでした。ちなみに白のグラスワインは美味しかったです!

 

いま、靴というと、#KuToo(クートゥー)運動が広がっています。会社などで、ハイヒールやパンプスの強制はやめようという運動です。靴好きの私、貴族の館でマノロの靴を見ながら考えました。

 

もちろん、この#KuToo運動に賛同します。()きたい人が、履く目的にあった場所で、履きたい靴を履いてこそ、靴は輝くし、人も輝くのです。上司や古い社会のルールで強制されて履くものではありません。ハイヒールは本来、パーティーなどで2時間ばかり美しい姿に見せるための道具、美しさには我慢がつきものです。長時間働くために作られた靴ではありません。繊細で美しいハイヒールが一番輝くのは貴族の館かもしれないなと、ロンドンで思いました。

 

大英博物館をはじめ、ロンドンには入場無料の博物館や美術館が多数あります。でも私は、余裕があるときは、少しでも寄付をするようにしています。美術館入り口には、「sujest £5」とか「£8」と書かれた箱が置いてあります。これが寄付箱です。学生や若い方など、お金に余裕がない人は無料で見て欲しい。でも私たち大人は違います。金額の多寡(たか)は関係ないので、お札以外でも、たとえば慣れないので使い方に困った5ペニーや10ペニーなど硬貨でもいいので箱に入れてみてはどうでしょうか? お財布のダイエットにもなりますよ。無理のない範囲で若い子の分まで寄付をして、文化を次の世代につなげましょう! BBA旅は、そんな心の余裕を持ちたいですね。

 

次回は「ロンドン食とお土産最新事情」を予定しています。
お楽しみに!LOVE

 

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地曳いく子(じびき・いくこ)プロフィール

地曳いく子(じびき・いくこ)
1959年生まれ。『non・no』をはじめ、『MORE』『SPUR』『Marisol』『eclat』『Oggi』『FRaU』『クロワッサン』などのファッション誌で30年以上のキャリアを誇るスタイリスト。著書に『50歳、おしゃれ元年』『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』『ババア上等! 余計なルールの捨て方 大人のおしゃれDo&Don't』『ババアはつらいよ アラカン・サバイバルBOOK』『おしゃれも人生も映画から』『おしゃれ自由宣言!』など著書多数。槇村さとるさんとの動画連載「BBA(ババア)チャンネル byさとる×いく子」も好評配信中。http://gakugei.shueisha.co.jp/yomimono/bbach/01.html