26.私にとってのニューノーマルとは? ~時間をかけること、お金をかけることを見直す~

「アフターコロナ」を考えてみる

 

緊急事態宣言が続々と解除されたなか、私の暮らす東京下町は、まだ自粛生活が続いています(2020年5月18日現在)。そんな生活のなかでも、少しずつ、今後の生活を考えるようになってきました。

自粛生活が続く東京下町。最近は夏のような暑い日もありますが、いい季節です。

自粛生活といっても、ロンドンやパリ、ニューヨークのように、ロックダウン(完全な都市封鎖状態)ではないわけですが、今までの日常よりはかなり不自由な生活。その甲斐(かい)あってか、東京も日々感染者が減ってきているようです。

 

いつもより制限のかかった暮らしをして、考えました。制限はあるぶん、家で時間は有り余る。仕事をするにしても、リモート会議などで、仕事場へ行く往復の時間はかかりません。でも、長い長い夏休みのように有り余る時間があっても、いやあるからこそ、「時間があってもできない、やりたくないこと」が、不思議なことに、出てきたように思うのです。

 

何に時間をかけるのか。何にお金をかけるのか。考えてしまいました。

 

自粛が少しずつ緩和され始めたとしても、私たちは、コロナ前と完全に同じ生活に戻れるのでしょうか? 戻れるにしても、長い時間が必要な気がします。特に旅行や観劇、娯楽、ライブなどは。人が集まったり、海外と交流が必要な文化も。

 

東京に暮らしているから、このように考えてしまうのかもしれません。でも今回のコロナは日本だけのことではなく、世界中で同時に起こっている問題なのです。

 

たまに行くのを楽しみにしていた(つくだ)にあるお気に入りの高級スーパーの輸入チーズの棚は、今は、ガラガラですし、他にも、輸入に原料を頼っていた商品も品切れ気味です。日本経済もインバウンドに頼っていた業種は厳しい状況です。

 

とはいえ、この状況下でも、必ずしも悲観ばかりしている必要もないのでは、と私は思っています。新しい覚悟をもつことで、新しい自分に出会うことができるからです。

 

「#newnomal(ニューノーマル)」というハッシュタグが、世界中のツイッターでトレンドワード入りしたように、新しい考え方、新しいやり方を考える時なのかもしれません。

 

といっても、大袈裟(おおげさ)なことではなく、私の場合、日常のささやかなことです。

 

たとえば、私は趣味でシーツなどベッドリネンを何枚も集めていましたが、こまめに洗濯をする生活を送っていると、こんなに要らなかったことに気づきました。

 

持て余すおうち時間で、ベッドリネンを全部引っ張り出してみました。すると結局、今お気に入りのリネンセットしか使っていない。ここ数年、使っていないものが半分以上ありました。実際、シーツは1週間に1回替えて洗濯したとしても、朝洗えば夜には乾くし、春夏用2枚と冬物2枚あれば十分。今さらながら「足るを知る」です。

夏用のお気に入りのベッドリネンはザラホーム(Zara Home)や無印良品で。
食器棚も整理して、お気に入りのものを普段使いに。ロンハーマン(Ron Herman)、イケア(IKEA)、フライングタイガー(Flying Tiger Copenhagen)など、買った場所も値段もまちまちですが、こんな色味が好きみたいです(笑)。

料理を毎日するようになって、台所や冷蔵庫の食品在庫も見直しました。ショートパスタの在庫にびっくりしながら、何よりも、牛乳と卵とオリーブオイルとお酢がすごく減ることに気づきました。

 

逆に、賞味期限切れのスパイス(たとえば2013年4月賞味期限のシナモンパウダー)やお茶などを大量に発見してゾッとしました。去年か一昨年くらいに買ったものだと思っていたのに……。竜宮城にでもいたのでしょうか? 私。

 

ちなみに、チーズ問題、私はこのように解決しました。簡単なことで、輸入チーズがなければ国産のチーズを食べればいい! 近所のスーパーで山積みになっていた花畑牧場の「ブラータ」。1つ400円くらいですが、驚くほど美味しい!! 輸入品ブラータの3分の1くらいのお値段です。オリーブオイルとお塩をかけて、毎日ブラータ三昧しています。

オリーブオイルとお塩をかけて、花畑牧場のブラータをいただいています。美味しい!

今回の半強制的な引きこもり生活は、今までトップにギアを入れて最速で突き進んできた人生の気持ちとモノをリセットというか、再起動、リブートさせるために、私には必要な期間だったのかもしれません。

 

新型コロナウイルスがいつ終息するのかはまだわかりませんが、みなさんがそれぞれの「ニューノーマル」を考えてみるのもいいかもしれません。

 

本は忙しいほうが読める?

 
 

トークショーや撮影の仕事が次々とキャンセルになり、たくさんの時間ができました。こういうときだから本を読もう、と思って、はや1カ月。結局、数冊しか読めていません(笑)。

 

私にとって読書は、忙しい日々のなかで、気持ちを落ち着けたり、熱くなった頭を整えたり、少し現実逃避したりするためにするもののようです。

 

これは、写経やヨガ、ストレッチにも言えることでした。

 

新型コロナウイルスで心が殺伐としたとき、写経をしようと机に向かったのです。が、まったく進みませんでした。

 

忙しいからこそできること、反対に、時間があるからこそできることがあるんですね。

買い物のついでにたまに家の近くを歩くと、今まで気づかなかった美しさに気づいたりもします。

ちょっと長めのおまけ
ロマンチック不足のあなたに『愛の不時着』と、日々の生活原点回帰の『東京物語』

 
 

本は読めないけど、ドラマや映画は()られる私。Netflixで大人気の韓国ドラマ『愛の不時着』を観ました。最初は「えっ韓流? 趣味じゃない」って思っていたのですが、サブカル仲間の気の合う後輩に強力にすすめられて観出したらびっくり! 

韓国ドラマ『愛の不時着』にハマりました。登場人物もカッコいいし、ファッション、インテリアと見所満載。大ヒットしていますが、まだの方、オススメです。

ストーリーはもちろん、ファッションや文化、ロマンスまで、もう、てんこ盛り! こんなにのめり込むなんて自分でも意外でした。韓流といえば「冬ソナ」で止まっていた私には強烈なドラマでした。

 

韓国の財閥令嬢・セリが、パラグライダーの事故によって、北朝鮮に不時着してしまう。そこで、北朝鮮のエリート将校・リ氏に出会う恋愛物語です。とにかく登場人物がカッコいい! 演技がうますぎるし。脇役のコメディ的な演技も面白い。インテリアもすばらしいです。韓国のドラマってこんなに進んでるの!?

 

もう、ロマンチックが止まりません! 人との関わりが、以前とは違ってきた今、ロマンチックも不足していませんか? セリとリ氏がロマンチック大充電してくれますよ。

 

北朝鮮の素朴な生活と、韓国の最新ファッション、どちらもが描かれているのですが、不思議なことに、素朴な生活のほうに()かれたりするんです。北朝鮮のことを悪者として描いていないところも新しい。リアルな北朝鮮の暮らしは、脱北者の方々から取材をしまくって作られたらしいです。

 

ちなみにNetflixの日本のオリジナルドラマといえば、蜷川実花(にながわみか)監督の『FOLLOWERS(フォロワーズ)』がありますが、私は『愛の不時着』のほうが好みでした。

 

もうひとつ、最近始まったオリジナルドラマ『ハリウッド』もオススメです。ストーリーの流れで、とにかく美男が脱ぎまくる! 目の保養です。LGBTや男女格差など、社会問題も描いていて面白い。続編を望みます。

 

最後に映画も。

 

家にいる時間が長く、丁寧な生活を送るようになった今、ふと思い出したのが小津安二郎監督の名作『東京物語』です(Hulu、あるいは、Amazonプライム・ビデオのレンタルで観ることができます)。あのゆったりした昭和の時間の流れ方……。久々に『東京物語』を観返してみようと思っています。

 

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地曳いく子(じびき・いくこ)プロフィール

地曳いく子(じびき・いくこ)
1959年生まれ。『non・no』をはじめ、『MORE』『SPUR』『Marisol』『eclat』『Oggi』『FRaU』『クロワッサン』などのファッション誌で30年以上のキャリアを誇るスタイリスト。著書に『50歳、おしゃれ元年』『服を買うなら、捨てなさい』『着かた、生きかた』『ババア上等! 余計なルールの捨て方 大人のおしゃれDo&Don't』『ババアはつらいよ アラカン・サバイバルBOOK』『おしゃれも人生も映画から』『おしゃれ自由宣言!』など著書多数。槇村さとるさんとの動画連載「BBA(ババア)チャンネル byさとる×いく子」も好評配信中。http://gakugei.shueisha.co.jp/yomimono/bbach/01.html