02 ずっと一緒


 うちのかーちゃんな。言うたら何やけど、アカンタレやねん。うちがそばにおらんようなってすぐの頃なんか、べそべそ、じめじめ、ほんま(うつ)(とう)しかってん。

 皆さん、知っとる? あのボトル型のネックレス。中に、〈これってもしかして天使の骨やないん?〉いうくらい(こう)(ごう)しいうちの骨を納めたあのネックレス。

 ガラスやし、あの女のこっちゃからカクジツに落として割るやろ? ふだん家におる間は、危なかしゅうて身に着けられへん。

 せやけど、な、これやったら心配要らんのんちゃう? 内側の窪みに大事なもん入れて、樹脂で固められるようになってんねんて。

 銀の指輪、()うたったんはとーちゃん。

 かーちゃんはそこに、うちの奥歯のちっちゃいかけらを入れよった。

 これでずっと一緒やん。ずぅーっと。

 ほんま鬱陶しゅうてかなんわ。



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著者 村山由佳プロフィール

村山由佳(むらやま・ゆか)
1964年東京都生まれ、軽井沢在住。立教大学卒業。1993年『天使の卵―エンジェルス・エッグ―』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。2009年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞を受賞。近著に『燃える波』『猫がいなけりゃ息もできない』『はつ恋』『まつらひ』などがある。

猫プロフィール

もみじ(♀永遠の17歳 三毛)

本連載の主人公。房総・鴨川で誕生したが、なぜか関西弁。男を見る目のない作家のかーちゃんに付き添ってあちこちを転々とし、長野県軽井沢町で今生を旅立った。半世紀も猫を飼ってきた飼い主をして「こんなに猫らしい猫を見たことがない」と言わしめる、村山家のお局様。

  • 銀次(♂12歳 メインクーン)

    体重8キロ、大柄だが気は優しく、犬にも人間にも動じない、村山家のお客様おもてなし担当。中身はたぶん、おばさん。鳴き声は「んるる?」。

  • サスケ(♂4歳 黒のハチワレ)

    妹の〈楓〉とともに村山家の一員となった。極度のビビリの半面、とんでもない甘えん坊。鳴き声は常にひらがなで、「わあ」。

  • 楓(♀3歳 サビ色の三毛)

    〈サスケ〉兄ちゃんの鈍くささを嘲笑うかのように、わざと危ないところへ上ってみせるおてんば娘。〈銀次〉おぢさまのことが大っ好き。短い尻尾がコンプレックス。鳴き声は「いやあん」。

  • 青磁(♂9歳 ラグドール)

    真っ青な瞳の美しい貴公子だが、性格はやや屈折している。飼い主が亡くなったため、温かな南房総から軽井沢へと連れてこられた。ただ今、他の猫たちとの共存方法を模索中。怪鳥のように「めけぇっ」と鳴く。

※年齢は2019年3月現在

本文写真・猫近影
村山由佳
著者近影 山口真由子